花の肖像

雪蓮

Snow Lotus

1992 Tokyo Japan / 1940×1556; Oil on Canvas
Gathered in the Himalaya / Akiyosi K.Collection

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1991年七月の終わり、灼熱の砂漠の都、ウルムチを出発。中国西城、標高2000mの山中に天の池という湖がある。 天の池を第一キャンプとし、ウイグル族のキャラバン隊を組み、さらに3000m、4000mと博格達山(ボゴダ)を目指していた。 樹木も消え、高山植物も花も消え、4000mを越えると、酸素も薄くなる。頭上は氷河の世界、博格達山が聳え立つ。 雪がまばらに散らつく岩上、4500m幻の花、禁断の花、雪蓮が咲いていた。ヒマラヤ天山、チベット一帯には聖地として数多くの高峰が点在する。 そこにはやはり、神が下界に降り、また神の姿はひとつの花弁となって私達に語りかけている。

それが天の花、雪蓮である。
雪蓮『サウスレア・インボルクラータ』トウヒレン属/4000m以上の高山帯岩れき地に点々と生える多年草。
騎馬民族は、幾千年にわたりチベットの広大な草原を駆け巡り、命掛でこの花を探した。この花に神の姿を見、雪蓮と呼んでいる。 この花は不老長寿の花として崇め、時の皇帝に捧げた。現在は採取が禁じられている。

Tadamasa Yokoyama